ル・クレジオ『物質的恍惚』

2006/1/3, 14:37 by Gen

 ぼくが死んでしまうとき、ぼくの知り合いだったあれら物体はぼくを憎むのをやめろだろう。僕の命の火がぼくのうちで消えてしまうとき、ぼくに与えられていたあの統一をぼくがついに四散させてしまうとき、渦動の中心はぼくとは別のものとなり、世界はみずからの存在に還るだろう。・・・・もはや何ものも残らないことだろう。ぼくがあっただろうところのものの彼方にぼくを運ぶような傷跡一つ、思い出一つ残りはしないだろう。

 そして・・・いつの日か(その日は必ず来るのだが)世界からは人間の姿が見えなくなるだろう。人間の文明や征服の数々は人間と共に滅びてしまっているだろう。人間の信仰、疑惑、発明などの数々は消え失せていて、もはや人間のものは何一つ残っていまい。他のたくさんの事物が生まれ、そして死んでゆくだろう。他の生命形体の数々が姿を現わし、他の考えの数々が流通することだろう。そして、そのあと無定形の存在の共同体のうちにふたたび統合されてゆくのだ。それでも世界はつねに存在するだろう。それでもつねに何ものかがあることだろう。およそ考えうるかぎり遠い時間と空間との奥にも、なおも物質、消えることのない全的物質の現存があるだろう。

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統計という思想

2005/5/11, 15:51 by Gen

20:20:04
確率とか統計ってあらためて凄いなと感じるわけですよ。ちなみに確率の本質的意味は、ルーズな基準を許すこと。ある命題を<真/偽>で判断する場合、どちらかに振り分けなければいけない。でも確率ならば、真から偽までのグラデーションの曖昧さを許可することになる。どちらともいえない命題が許可される。これは画期的なこと。いいかえれば、結論に対して寛容だということ。(お天気予報をあまり恨まないでしょ?)

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