思想と時代状況
2005/2/7, 16:07 by Gen
16:43:46
われわれは、思想というものはある特定の問題に対する一つの解答であることを、ともすれば忘れがちである。解答命題のみを思想とみて、その命題を生み出したところの問いを不問に付す。あるいは問いを問題にする場合でも、その問いを特定の問題状況における特定の問いとしてよりは、一般的・普遍的な問いとして捉え、この一般的・普遍的な問いにうまく答えたか否かによって、思想の優劣を判定しがちである。
最先端の思想は過去の思想に優ると考え、最先端の思想をもって過去の思想の不備をあげつらう、いわゆる現在中心主義の歴史観は、問いについてのこのような見方に起因するといってもいいだろう。ポストモダニズムをもってモダニズムの思想を一刀両断に断罪しようとする最近の風潮も現在中心主義の一例である。
問いと答えの連鎖としての思想史には終わりがない((c)Collingwood)。このことは死ぬまで忘れないでおきたい。
Tags 歴史/宗教, 思想/哲学/言語(学) | | 2,764 Views |
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