言語とメディアとメタ情報

2007/7/6, 1:37 by Gen

 『心と認知の情報学』からおまけ。

*意識と言語は、1万年前までのサバンナ環境に適応する形て進化した。

*だから、かつてのサバンナ環境には適応的であった意識と言語が、現代社会では(環境とのミスマッチにより)何らかの機能不全を起こしている可能性がある。盲腸のように。

*かつてのサバンナ環境では、人間は小集団で暮らしていた。

*小集団(対面コミュニケーション)の状況で、情報量の少ない言語は、情報量の多い無意識の非言語コミュニケーションに支えられていた。

*現代社会では、小集団のコミュニケーションと、メディア(媒体)を介した大集団のコミュニケーションが混在している。

*大集団においては、対面コミュニケーションにおいて培われるべき信頼は、貨幣、法律、教義、権威、ブランドなどの象徴的な記号情報(メディア)に仮託された。ところが、そこでは、情報量の多い無意識的・非言語的情報が欠落している。

*無意識的・非言語的情報によって支えられるはずの、文脈に関する情報(コンテクスト性)や、情報発信者の信念・欲求・意図など(「情報に関する情報=メタ情報」)が欠落しがちで、言葉や概念が一人歩きしやすい。

*メタ情報をメディアデザインにどう織り込むかが課題。

#このような綺麗な二分法は、あくまで理念型だということに留意する必要がある。

#言語は小集団におけるコミュニケーション(サバンナ環境)を前提として進化した。だからこそ、(言語の不完全さを補うために)、人工物(道具・モノ・機械)や社会制度の重要性は高いと言えるのだろう。

#ベタなコミュニケーションは、小集団での対面状況を含んでいる気がする(60年代の全共闘のように)。他方、インターネットでは、記号を介した、大集団コミュニケーションが主要なモードとなる。権威(アクセス数やブクマ数)が大きな資源(信頼資本)となる。だからわたしたちは、特にインターネットでは、メタ読み(ポジション的な読み;アイロニカルなコミュニケーション)にこだわらざるをえないのだろう。という仮説は成り立つのだろうか。

#レヴィ=ストロースの「真正さの水準」議論を思い出す。1


  1.  レヴィ=ストロースは、「社会科学における人類学の位置および人類学の教育が提起する諸問題」という論文(『構造人類学』所収)の中で、将来、おそらく人類学から社会科学への最も重要な貢献は、彼が「真正さの水準」と呼ぶ、社会の二つの存在様式の区別からなされるだろうと述べている。

     これは、個別な<顔>の見える関係から成る小規模なローカル諸社会の「真正さ」と、国民国家の中のネイションやエスニック・グループなどのように、メディアなどの間接的コミュニケーションによって媒介され結ばれている大規模な共同体の「非真正さ」との区別である。小田(2000)によれば、この<真正/非真正>の区分は、<実体/虚構>の峻別を意味するものではなく、「法や貨幣やメディアに媒介された間接的で一元的なコミュニケーションと、身体的な相互性を含む<顔>のみえる関係における多元的なコミュニケーションの質の違いを指している」。

     小田(2000)によれば、レヴィ=ストロースは、法や貨幣やメディアに媒介されたコミュニケーションの領域が拡大する現代でも<顔>のみえる関係は残っており、そこに参与する人類学者のフィールドワークが有効に働くことを示唆していた。また、「国民性」研究に対して、レヴィ=ストロースは「同じものとしてあつかうことのできない社会生活の二つの形態を、無意識のうちに一つにしてしまうことによって、最悪の偏見を正当化するか、あるいは空疎な抽象をあがめるかという二つの結果のどちらか一つに到達する」ことへの危惧を表明したという。

    (小田亮 2000 『レヴィ=ストロース入門』 筑摩書房)  [back]

Tags 社会(学), 科学/認知/進化/環境/身体 | | 2,801 Views | add to hatena hatena.comment 1 users add to del.icio.us 0 user add to livedoor.clip 1 users |  http://blog.genxx.com/wp-trackback.php?p=209
1 Star2 Stars3 Stars4 Stars5 Stars (1 votes, average: 5 out of 5)
Loading ... Loading ...


 Amazon Related Book Search

Leave a Comment

Please note: コメント欄で引用をおこなう場合に、blockquoteボタンを利用されると便利です。スパムフィルターが設定されているため、管理者の承認があるまで投稿が反映されない場合があります。気になる場合はamourix@gmail.comまでメールでお知らせください。