地球温暖化を阻止するための、その2

2007/2/11, 12:50 by Gen

 下に書いた「地球温暖化を阻止するための」という記事の追記です。そちらを先に読んでやってくださいな。まず、温暖化問題を解決する際に、IT(情報技術)はすごい期待されてるなぁ、というのが一つ。「ゴア米国元副大統領、地球温暖化問題でシリコンバレーに期待」なんて記事もあったりしますが、たしかに、原理的に、ITは環境面でかなりクリーンですよね。デジタル化されインターネットを通じてトランスファーされる情報は環境をほとんど汚さない。工業生産で情報テクノロジーが重要な役割を演ずれば演ずるほど、環境への有害な影響が減少する可能性は高くなるわけです。 温暖化問題を解決する際に、「技術の発展」が片足となり、そして(先の記事で書いた)環境を守るための取り組みや規制が「各々の目先の利益の実現に適うこと」がもう一つの足となると思うのです。両方が無ければダメだと思う。(下の図1を参照)


http://genxx.com/blog/archives/ecofac.jpg

 では「各々の目先の利益」とは一体何なのでしょうか。それを考えてみたのが下の図2です。(本当は温暖化の阻止こそが真の利益なのだが、温暖化の阻止を実現するためには色々我慢しなければならないことがあるため、なかなか人々は純粋に温暖化を阻止したいという動機から行動を起こそうとしない。そこで「目先」の利益と書きました)

http://genxx.com/blog/archives/socieco.jpg
 
 上段の「公共的利益の促進」というのは温暖化の阻止ということです。いわば真の利益です。そして、目先の利益には2種類あると思います(図の中段)。第1にアイデンティティ・政治的利益、第2に経済的利益です。「アイデンティティ・政治的利益」とは、自分が環境に優しい行動を行うことで自尊心を満たすことができる、そして人からの評判を上げることができるという利益です。「経済的利益」とは、純粋にお金が儲かるという利益です。

 さきほどの記事の例でいえば、ビジネス界の態度が変わってきたのは(環境技術が商売のネタになるという)「経済的利益」のためでもあるし、また(環境に優しい商品を作るとブランドの価値が高まるという)「アイデンティティ・政治的利益」のためでもある。ブッシュが態度を変えたのは、(支持率を上げたいという)「アイデンティティ・政治的利益」のため。キリスト教の福音主義者たちは自分たちの生き様を満足させたい(アイデンティティを満たしたい)。

 そして二つの利益を支えるのが下段の3つ、「想像力」、「倫理・規範・社会的言説」、「制度・法律」です。第1に「想像力」が無ければ社会問題(環境問題)は生まれません。「なんか世界はヤバイことになってるぞ」と皆が想像力を巡らせはじめたからこそ、温暖化問題という危機が発生したのです。惨害をもたらしたハリケーンのカトリーナは、人々の「想像力」をかき立てました。第2に、「倫理・規範・社会的言説」ですが、「環境は守るべきもの」という倫理が人々の間に広く普及しているからこそ、環境に優しい行動は政治的利益を生むのです。第3に「制度・法律」ですが、これは「倫理・規範・社会的言説」が具体的な社会的構築物となったものです。「二酸化炭素の排出量は○○cc以下に抑えなければ違法」という法律があるからこそ、環境技術に秀でた車を作ることができる会社は儲かっているわけです。このように、「想像力」が「倫理・規範・社会的言説」を生み、また「倫理・規範・社会的言説」が「想像力」を育み、両者が「制度・法律」の制定につながり、また「制度・法律」が「想像力」や「倫理・規範・社会的言説」に影響を与えているのです。いわば相互作用しています。

 さきほどの記事で「倫理で救う地球は脆い」と書きました。だがこれは不正確な書き方でした。正確には、『「倫理」が、「アイデンティティ・政治的利益」もしくは「経済的利益」のレベルまで昇華されていなければ脆い』ということを言いたかったのです。倫理や道徳はそれ自体では効力を持ちません。倫理を破ったら「アイデンティティ・政治的利益」か「経済的利益」が損なわれる、ゆえに倫理を守ろう、というレベルにまで到達しなければ効力が乏しいのです。

 一番重要なのはわたしたちの監視のまなざし、そして想像力です。まさに”In dreams begin the responsibilities.”(想像力は責任の母)です。(ある企業・ある政治家・ある個人が)倫理に違反した行動を取ったら社会的制裁(不買運動・株を売ること・選挙で投票しないこと)を加えますよ、だから倫理を守ることが利益につながりますよ、と常にメッセージを発していかなければならないのです。わたしたちが社会的制裁を加えるからこそ、環境親和的な「目先の利益」が生まれるのです。企業や政府など大きなシステムの暴挙を嘆く必要は全く無い、一人々々がそれらをコントロールすることができるのです。いやむしろ、わたしたちが企業や政府をそのような姿にさせているのです。その意味で、左翼的な政治運動もバカにできない。わたしたちが「利益」を誘導しなければ、社会は変わらないのです。(←なんか筆致が共産党っぽいなw)

Tags 科学/認知/進化/環境/身体 | | 2,506 Views | add to hatena hatena.comment 0 user add to del.icio.us 0 user add to livedoor.clip 0 user |  http://blog.genxx.com/wp-trackback.php?p=167
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