蓮見

2005/5/30, 15:33 by Gen

15:44:16
 それにしても、大学に入学した当時、入学式で蓮實重彦の式辞を聞けないことがどれだけ悔しかったか。前年に蓮實総長は去ったのだ。蓮見の式辞は次のように締められたという。

 「そのことを指摘しながら、この式辞は、結論もないまま唐突に終わりをつげます。それに費やされた言葉は、はたして、この式典にふわさしい何かを充分に祝福しえたでしょうか。いま式辞を述べおえようとしている者は、それに耳を傾けられた方がたのうちに、結果とは異なる過程への好奇心がすでに胚胎し始めているものと確信しております」

 まぁ、蓮實の狙いを山形が読んだところでは

 結論よりその思考の過程のほうがずっと大事なんだ、というのがかれの持論で、長い、長い、真綿がいつまでもとぐろを巻くような文章にすることで、人の注意はいやでも文の結論よりは文そのもの――つまりは思考のプロセス――に向けられる、というわけ。

 イラク自衛隊派遣の是非が問われていたとき、蓮實が文藝春秋に寄稿した文章のタイトルは、「自衛隊派遣の是非を問うこと自体が無効なのである」。煙に巻くような文章を読んだ誰かが、「いや、蓮實さん、あなたの時代適合性こそがもはや無効なのである」と揶揄していた。確かにそうだと思った。でも、彼が彼の時代に培って、彼の時代に向けて発してきた言辞の数々は、今でも新鮮かつ豊かな泉であることは間違いない。ポストモダン、脱構築とかも、色褪せたとはいえ、馬鹿にする必要など無い。

Tags 日々のよしなしごと | | 3,858 Views | add to hatena hatena.comment 0 user add to del.icio.us 0 user add to livedoor.clip 0 user |  http://blog.genxx.com/wp-trackback.php?p=114
1 Star2 Stars3 Stars4 Stars5 Stars (No Ratings Yet)
Loading ... Loading ...


 Amazon Related Book Search

Leave a Comment

Please note: コメント欄で引用をおこなう場合に、blockquoteボタンを利用されると便利です。スパムフィルターが設定されているため、管理者の承認があるまで投稿が反映されない場合があります。気になる場合はamourix@gmail.comまでメールでお知らせください。