2007/7/27, 2:45 by Gen
「物語」というキーワードは便利で、医学的に非合理的な要求をしてくる患者さんなんかを揶揄して「Story Based Medicine(SBM)の時代だよなぁ」なんて言われているみたいだし、わたしも「物語」という概念が大好きでよく使うんですが、そもそも、人間のアイデンティティを説明する場合に便利な「物語」という概念はいったいどういうものであるのか、若干掘り下げてみたいと思います。人間が「物語」を必要とする認知的・進化的な背景については、「心と意識のまとめ」というエントリーを参照してください。今回は、『自己への物語論的接近』の内容を簡潔に整理してみます。まとめで力尽きたので、コメントは次回以降で。なお、具体例・下線部は引用者が勝手に考えたもの。
同書の著者、浅野さんによれば、まず、物語は3つの特徴をもっているという。
■物語の特徴
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2007/7/14, 8:02 by Gen
「可能性に満ちたセックスを構想する」でいろいろと書いた。でも、脱射精的なセックスが正しい姿だ、と言うつもりはない。普通の射精中心主義的なセックスでも別によいと思う。ある男女がいて、その男女がともにそれ(射精中心主義的セックス)によって幸せを感じているならば、まったく素晴らしいことだ。少なくとも、自分は結構満足している。
思想の罠。それは、現状とは別のあり方を進んだ考え方であるとし、現状の肯定を遅れた考え方だと見なしてしまいがちなところだ。ある個人、そしてその個人と関係を切り結ぶ他者が、幸せと感じるかどうかが最終的な判断基準であって、いくらデリダであろうとフーコーであろうと、その基準より特権的な立場に立つことはできない。田崎さんの『セックスなんてこわくない』でも、暗黙裏に、射精中心主義を「遅れた」セックスのあり方だとする論調が目に付いた。
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2007/3/2, 6:57 by Gen
#そういえば、記事の5つ星評価システムを導入したので、よろしければご評価をお願いしますね。星の数を選んだあとクリックすると投票されます。つまらないならつまらないと諭して欲しいし、面白ければ面白いと甘やかして欲しいw とにかく、フィードバックはとてもモチベーションにつながるのです。
よい映画批評とはなにか。批評対象となる映画が独自になしえている、その映画でなければ表現できなかったと批評家自身が感じるところを、批評家独自の感性によって解体再構成し、結果として読者に作品の追体験を迫る批評。そんな批評が好きだ。昨日の記事は批評ではないのだが、あれがもし批評だとしたら、最悪の部類にすら入らない。ああいう「作品固有のおへそ」を無視した一般抽象化は、批評がもっとも避けねばならないことだ。
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2007/2/28, 19:38 by Gen
久々に映画の話を。そういえば、この前DVDで『ナイロビの蜂』(あらすじはリンク先参照)を観た。鋭いカメラワークと(”L.A. confidential”に似た)味わい深いサスペンスの物語筋が印象的な、快作だった。比較的おすすめ。76点。もちろん、映画なので、ドラマティックな物語を展開する必要がある。そこでこの映画の脚本家は、おなじみの「ある仕掛け」を施した。
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2006/11/30, 21:06 by Gen
典型的には携帯電話でメールを打つ場面を思い出してほしい。「まぁ、今度二人で飲もうよ(笑)」という文章、むず痒くてしょうがないだろう。痒すぎる。「飲もうよ」と言い切るのも不安で、でも(笑)を付けるのも躊躇われて、悩んでしまう、小一時間。(笑)の恥ずかしさを少しでも減らすために「飲もうよ。笑」にしてみたり、「飲もうよw」にしてみたりするのだが、根本的な事態は一向に解決しない。では、(笑)にまつわる根本的な事態とは何か。それはコミュニケーションの2次元性の問題だ。
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